こんにちは、さんだです。
前回に引き続き、日ごろの疑問のようなものに対して考えを述べてみる記事。頭の整理にもなりますしね。
医療は急性期病院だけで完結していない
みなさん、ご存知の通り、現代の医療は急性期病院だけでは成り立たっていないのです。
疾患によって機能障害が出たり、入院中にADLが落ちてしまえば回復期病棟や地域包括ケア病棟に転院していきます。地域包括ケアシステムを動かそうとすると、地域で働いて「生活を診る」医師の活動も増えていきます。ポリクリを回っていても「転院調整中」などはよく聞きますし、紹介元が老健などの施設であることもあります。
学生や研修医のうちに急性期以外に触れることはまれ
上に書いたことは少し考えたらわかるんですけど、学生のうちに急性期病院以外に触れることはまれです。地域実習が比較的多い大学にいて、かつ興味を持っている僕ですら少ないと感じています。多くの医学生にとっては「なんか聞いたことある」レベルでしょう。
臨床実習では地域医療という実習がたぶんどこにでもあると思うんですけど、それ以外ではほぼ急性期病院以外の病院に触れることはないです。
初期研修でも地域は4週間となっていて、あとは原則としてどこかの科を回るプログラムです。特定の科で研修する以上、地域包括ケアみたいな場で研修することはまれかなと思っています。また、緩和ケア科やリハビリテーション科など、科として存在していても研修できる病院がそもそも少ないという問題もあります。
急性期も大事、回復期も療養も大事
こんなに学ぶ機会は少ないわけですけど、ほとんどの医師はどこかで急性期病院以外の医療にも触れると思いますし、中には一生の仕事にする人もいるはずです。また、今、既に厚労省によって急性期病床が減るような方向に進んでますし、将来的には急性期病院の集約化が起こるでしょうから、より多くの人が急性期病院以外の場で働くことになるわけです。それなのに、こんなんでいいのかなと一人もやもやしております。
よく「3-5年目に万能感が出てくる」みたいな話の中で、クリニック含む他施設の医師を軽く見るお話を聞くんですけど、ちゃんと実習やら研修で中を知っていたらそういうのもなくなるんじゃないかなと思います。
特に今から医師になる僕らのような場合、医師の高齢化より病床削減・集約化が早く進むと急性期病院でキャリアを積めなくなる可能性って割とあると思うんですよね。その中で「他の人に負けない武器」を手に入れるのもありですけど、「働く場を変える」っていう選択もあっていいと思う。
慢性期や回復期、地域や見取り、緩和などは確かに急性期のような命に直結することは少ないかもしれない。ですけど、決して下位互換ではなく、それぞれがそれぞれに難しさや面白さを含んでいると思います。
だから、僕は一部の人が持っている「急性期至上主義、慢性期はセカンドキャリア」みたいな考えは嫌いです。「回復期や慢性期で働きたいです」って言うと「直接リハビリ行ってどうするの?」とか「若いうちは急性期で働いたほうが良いよ」とか言われることありますけど、あなたの狭い価値観なんて知らねーよバーカって感じです。
医学教育も変わっていくべき
僕なんかが言うのはあれですけど、この辺も考えて医学教育は行われるべきではと思います。総合診療専門医は少し近いのだろうけど、色々めんどくさそうなことになってますし。「ロボット手術!先進医療!すごい!」みたいなのも言いたくなるのは分かるけど、どの施設でもできることじゃないんだから。
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