こんにちは、さんだです。
臨床実習も始まってから1年が経ちました。あと半年くらいあるんで、2/3くらいが終わったところでしょうか。色んな科を回って思うことは下のツイートのことです。何人か理学療法士→医学部再受験をした人を知っているのですが、全員が同じようなことを言ってますね。
こういう指導者はいなかったけど、医学科の実習より理学療法時代の実習の方が辛かったよ。 https://t.co/rYTRbOG3LP
— さんだ/再受験医学生 (@sanda_igaku) 2018年12月26日
せっかく両方を経験しているので、この機会に比較してみたいと思います。他の職種がどのような教育を受けてるかなんて知る機会はないですからね。
ここに書いていることは経験に基づく完全な主観です。大学によって差がありますので、これが全てではありません。また、これをもって医学生やコメディカル学生のどちらかを持ち上げたり非難したりすることもありませんし、指導してくれる方を蔑ろにすることもありません。そのことを分かったうえで読み進めてください。
まとめるとこんな感じ
一個ずつ、説明していきますか。
実習期間
医学科→72週間
理学療法学科→18週
医学科の実習期間を聞いた時は驚きましたね。72週って1年半ですから、6年間のうち1/4が実習です。全部の科を回るので飽きることはないのですが、やっぱり長いですよね。だいたい2週間で一つの科を回ります。
対して理学療法学科は18週です。僕がいた大学では2週+2週+6週+8週の4つの期間に分かれていました。一つの施設に滞在する期間はこっちの方が長いです。
期間が短いと慣れる前に終わる
2週間ごとに回る科が変わるってのは、常に新しい環境で実習をしていくことになるのでやっぱりしんどい部分があるんですよね。それはきっと指導される先生方にとっても同じことで、「この学生はどんな人なんだろう?」なんて思ってたら2週間経ってしまうわけです。
6週間や8週間もいたらその中のことはだいぶ分かるようになりますし、スタッフの方ともたくさんコミュニケーションが取れます。単に僕が指導者に恵まれたから、長いことは良いことだと思えるのかもしれないけど。
実習場所
医学科→主に自大学病院
理学療法学科→ほぼ学外の病院
医学科の実習は主に大学病院で行われます。一部外の病院での実習もありますが、全体で見れば大学病院の方が圧倒的に多いでしょう。
対して、理学療法士の養成校で大学病院があるところはごく一部ですから、自ずと外部の病院で実習することになるわけです。大学病院がある養成校でも、リハビリテーション部のキャパ(施設の広さや指導者など)の限界があり、どうしても外の病院で実習をせざるを得ないのです。
この外の病院なのですが、養成校によっては自宅もしくは下宿から通えない場所なんてこともよくあるんです。県外どころか地方を跨ぐなんてこともよく聞く話。僕の養成校は幸いにも大学から公共交通機関で全部通えるところでしたけど。
院内に宿泊できる設備はないですから、レオパレスなどのウィークリーマンションを借りて病院に向かうわけです。そして、これにかかる費用は自腹です。学校が用意してくれてても学費に上乗せされてるだけなので結局自腹です。
一緒に回る人数
医学科→4-5人(班単位)
理学療法学科→1-2人
医学科での実習(ポリクリ)は主に班で回ります。班員とは1年以上ともに動くことになるんで、班が合うか合わないかが問題になってきますが、周り見てるとうまくやってる班が多いように見えます。班で回ると色々を共有できることが大きなメリットです。
理学療法学科の実習は班では回りません。ほとんど一人か二人で実習を回っていたように思います。リハビリテーション部のキャパ的にしょうがないんですけど、これがつらいんです。僕は全部一人で回ってて本当につらかった。
何がつらいって知り合いに全く会わなくなる。人と会うのは病院での実習だけになるから、日常について喋ることがない。超孤独。
「ラインとかメールとかあるでしょ?」と思うかもしれないけど、後述する課題のせいであんまりその余裕がないのです。
課題
医学科→レポート、テスト
理学療法学科→デイリーレポート+レポート
医学科ではたくさんの科を回って、その各科でレポートを書きます。比較的期間が短いことが少し大変ですね。一つ終わってもまた次のレポートがあるという感じです。量はA4数枚(多くは両面刷りで1枚分)程度で多くはないです。テストも2週間おきとかにあるので、楽かと聞かれるとそこまで楽でもないかも。
理学療法学科もレポートを書くんですけど、すごい量のレポートを書いていた記憶があります。5ページとか10ページとか。余白詰めたり文字小さくしてないにしても多いし、これを求められてた気がする。
これと別にデイリーレポートなるものが存在します。形式は様々で、学校や施設によってはないこともあります。僕の場合は「その日に疑問に思ったことについて考察してくる」ものが多かったんですけど、学校によっては「何時にどこでどんな患者さんのリハビリテーションを見た。こう感じた。これを調べた。こう考えた。」みたいに細かな日誌を書く場合もあるそうです。
このデイリーレポートによって睡眠時間が削られます。手を抜こうと思えば抜けるんですけど、やると際限なくやれますから。あと、変な指導者に当たるとこのデイリーレポートで文句言われることがあるので。
指導者の裁量
医学科→大きくはない
理学療法学科→かなり大きい
評価において、一人の指導者にどれだけの権限が与えられるか、という話ですね。医学科はたくさんの科を回りますから、回る科の数だけ評価する指導医がいます。よって、一人の指導医が学生に与える影響というのは自ずと小さくなります。班で回ること、学生の数が多いこと、レポートやテスト、態度など評価項目が多いことを考えるとめちゃくちゃな評価は少なくなるでしょう。
対して、理学療法学科の実習では通常「バイザー」と呼ばれる指導者に学生がつくわけです。普段の実習もレポートも評価も、一人のバイザーに託されます。施設によっては「サブバイザー」が付きますけど、評価するのはだいたいバイザーが多いかと。
理学療法学科のこのことは割と問題だと思っていて。極端な話、一人のバイザーが一人の学生の未来をつぶす可能性すらあるんですよね。冒頭に引用したツイートもそのことを言っています。僕の知り合いには「こんなんじゃ話にならない。実習は中止ね。明日から来なくていいよ。」と言われた人もいます。
これが学生に非があるのかなどは置いておいて、バイザーが正当に評価しているかというフィードバックはあまりかかりません。バイザーを評価する機能がないんですよ。実習から教育という要素が消える恐れがあって、本当に良くないと思うんだけど、今は少しは改善されたんだろうか。
実習の過ごし方
医学科→自由に使えることもある
理学療法学科→ほぼずっと指導者につく
実習でも研修でもそうなんだけど、自分の行動の裁量が自分にあるかってのはストレスと大きく関係します。医学科の場合は、手術や外来、処置など指定されることもあるけど自分で考えて動ける時間もあります。患者さんにお話しを聞きに行ったり、カルテを書いたり、調べものしたりなどある程度自分のタイミングで動けるわけです。
理学療法学科の実習は自分のバイザーに付いて動くことが多かったです。バイザー以外のPTに「見学良いですか?」と聞いてつくこともあったけど、つく対象が変わるだけでそんなに差はないですね。ずっと同じバイザーにつくと、同じ患者さんと長く接することになるので、そこはいい経験にはなりますね。
まとめ
比べてみましたけど、医学科の実習も理学療法学科の実習も両方ともに「ここは改善した方がいいんじゃない?」と思うところはあります。理学療法学科のことがしんどいように読めるかもしれませんが、医学科の実習の方が「この実習に意味はあるのか?」みたいなのもあって、現場につながるので言ったら理学療法学科の方が優れてるとも思うわけで。職種によって違うからそこはどうしようもないけど。
双方に共通するのは「教育をするための教育が行われていない」ことですね。これは大学教育全般に言えることかもしれませんが、指導する個人の力量によるところがどうしても大きい印象です。学生を見ると時間と手間はかかるけど、報酬があるわけではないというのも問題です。
教育を受ける側が偉そうに、と思われるかもしれませんが、指導してくださる先生方には感謝しております。僕が言いたいのはシステムの問題です。ぶっちゃけ言うと、今のままではあんまり学生を指導する立場には付きたくありません。色々見直しされているでしょうから、良い方向に変わってくれるといいなと思います。
思いのほか長くなってきてるので、この辺にしておきます。残りの実習も頑張るぞ!