再受験、医学生そしてパパに

理学療法士から医学部を再受験した人のブログ。国立大学医学科5年。在学中に結婚し、娘も生まれました。

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日本学生支援機構の「機関保証」の説明と、奨学金について考える

こんにちは、さんだです。

 

 日本学生支援機構が奨学金を借りる際の「人的保証」を止め、原則「機関保証」にすることを検討しているみたいですね。

 

  

 で、これに関する下のツイートのリプ欄が誤解であふれています。

 

 

「金がないから奨学金を借りるのに、保証料を払えとは何事だ」「保証料を払えない人は大学に通うなというのか」みたいなやつは間違ってますので、今回は説明したいと思います。情報は主に独立行政法人日本学生支援機構 - JASSOから。

 

 

 結論を先に言っておくと

「貸与額に応じた保証料(数%)が引かれた金額が振り込まれるから、借りれなくなることはない」

 そんな「服を買いに行く服がない」みたいな状態にはなりません。

 

 

 

 

機関保証と人的保証

 日本学生支援機構の貸与奨学金は、卒業後に返還しなければなりません。「貸与」だから当たり前ですね。よくある「奨学金って言うなら給付しろよ」という議論はちゃんと別でしますので今は横に置いといて。

 

 仕事をしながら返還していくのですが、借りた人が返還できなくなった場合、誰かが連帯保証する必要があります。その保証を保証料を払って機関にお願いするのが「機関保証」で、保証人に払ってもらうのが「人的保障」です。だいたい半分ずつくらいが選択されているらしいです。

 

機関保証

 保証機関((公財)日本国際教育支援協会)が連帯保証します。その代わりに、奨学生は一定の保証料を機関に支払います。保証料は、毎月の奨学金から差し引かれる形で支払われます。最初にまとまって払うのではないので、手元に来る額が少し減るだけで今までと変わらずに貸与を受けられます。

 

 保証料は貸与額によって変わります。詳しくはこちらの資料に。例えば第2種奨学金(利子付き)を月5万円、4年間借りた場合の保証料は月2,115円なので、月4,7885円が振り込まれます。この辺を分かってない人が該当ツイートのツリーに多すぎ。決して借りる際に一括で払わなければならないということではないんです。

 

 連帯保証を機関に依頼するので、連帯保証人や保証人を選任する必要がありません。一人でも申し込めるというのが強みですね。

 

人的保証

 連帯保証人と保証人を選出します。原則として連帯保証人は父母またはこれに代わる人、保証人は4親等以内の親族で奨学生及び連帯保証人と別生計の人とされています。例えば連帯保証人→父、保証人→叔父ですね。

 

 奨学生が返還を延滞してしまった場合は、連帯保証人が返還を請求されます。奨学生本人・連帯保証人ともに返還が困難な場合には保証人に請求されます。

 

 保証料はもちろん要りません。

 

 

機関保証にすると踏み倒す人が増えるのでは?

 機関保証にした場合は、保証人がおらず親族に迷惑がかからないから「返さないという選択をする人が増えるのでは?」みたいな疑問も湧くでしょう。ですけど、あんまりなさそうかなと思います。そもそもちゃんと返還する人が圧倒的に多いですから。

 

 というか、意図的に数百万円のためにわざと延滞するってのがコスパ悪いです。奨学金返還を延滞した場合、個人信用情報機関に延滞者として登録されますから、クレジットカードの利用が制限されたり、ローンが組めなくなってしまいます。今の生活が維持できなくなる可能性もあるし、今の時代では単純に不便。そもそも借りたんだからちゃんと返せって話。

 

  仕事や健康上の問題などで払えない場合はちゃんと相談口がありますので、そちらを利用したらいいです。

 

 

保証人の負債は相続される

 保証人は奨学生となる人および連帯保証人(原則として父母)とは別家計であり、かつ4親等以内の人から選出されます。この条件が少し厄介だと思うんですよね。

 

 この条件だと、保証人の年齢ってだいたい親と同年代かそれ以上になるわけです。親が支払えないときには、定年退職や死亡などで保証人も支払い能力がない可能性ってある程度ありますよね。負債は相続されますから、気が付くと誰かの借金を背負わされているみたいな話もありえそうですよね。払えなかった人みんな、個人信用情報機関に延滞者として登録ですし。

 

 

原則機関保証への移行は悪くないのでは

 だから僕はこの「原則、機関保証」ってのは次世代も含めて長期的に見ると悪くないと思うんですよね。保証料が高くなったり、一括納入になったりなどの改変があれば話は変わるけど、今のところそんな感じはなさそうですし。

 

 機関保証の話はここで終わり。ここからは奨学金そのものについて。

 

 

奨学金と銀行ローンについて

 リプ欄でも多いんだけど「もはや闇金だな」みたいなのは色んなところで出てます。だけど、僕は日本学生支援機構の奨学金って割といい制度ではないかと思ってます。最善だとも思ってないけど。

 

金利の比較

 多くの人は金利がある第2種奨学金ってのを借りてるんだけど、他のローンと比べると金利が安いんですよね。基本金額年利は利率固定方式(ずっと変わらないタイプ)で0.22~0.33%で利率見直し方式(年によって変動するタイプ)で0.01%です(平成30年度卒業分)。

 

 他のローンと比較してみましょうか。民間銀行はこちらのページから。

 

xn--t8j3b8esc1fui.com

 

 「国の教育ローン」と呼ばれる日本政策金融公庫の教育ローンが年1.78%

 三井住友銀行の教育ローンは年2.975%(有担保型)、年3.475%(無担保型)

 中央ろうきんの教育ローンは年2.200~3.900%

 

 奨学金は利率が低いだけでなく、利息が付くのが卒業後です。教育ローンは借りた日から利息がつきます。加えて、学生支援機構の奨学金は給付型奨学金、無利子奨学金も設けており、特に最近は無利子奨学金の枠を増大しています。無利子でこんだけお金貸してくれるところないですよ。

 

借入限度額の比較

 日本学生支援機構の奨学金はたぶん最大で約1,500万円借りれます(私立大学の医学・歯学課程に在籍し、1種と2種を併用した場合の最大値)。医学・歯学ではない人が借りた場合で、無利子奨学金が借りれなかった場合は最大576万円です。

 

 対して教育ローンは以下の通り(引き続き教育ローンのオススメは?低金利で借りるなら国と銀行どっち?より)。

 日本政策金融公庫:最大350万円(海外留学だと450万円)

 三井住友銀行・みずほ銀行:最大300万円

 三菱東京UFJ銀行:最大500万円

 三島信用金庫:最大1,000万円

 静岡ろうきん:最大2,000万円

 

 一見、銀行の方が高いと思いますけど、これ「最大」なんです。審査で返済能力を判断され、それに応じて借入額が決まるわけですから、「奨学金を借りなきゃ大学へ行けない」という家庭は限度額いっぱいは借りれないと思います。収入が低い人の方がたくさん借りたいのに、収入が低いとたくさん借りれないんですね。

 

 対して日本学生支援機構の奨学金の場合、借りるのは学生になりますから、親の年収が一定以下で、成績が一定以上だと借りることができます。

 

 他にも細かい差はあるけど、一番大きい要素の利率と金額を見ると日本学生支援機構の奨学金って悪くないんです。闇金とかどこ見て言ってんのか教えてくれ。

 

 

給付vs貸与

 「奨学金というからには給付しろよ」これもリプ欄含めて色んなところで聞きますね。「海外では給付だぞ」とschlorshipの意味だけ見て発言する人も多いけど、海外でもローンはあるっちゅうねん。奨学金を受けて学校に通える状態になるという目的は果たされるわけだし、給付か貸与かは本質じゃなくない?だから「奨学金って名前やめて学生ローンにしろ」ってのもナンセンス。

 

「大学教育」の在り方がまずい

 なんで貸与型奨学金の返還が話題になるかっていうと、借入額に対して、得たものが少ないと感じているからだと僕は思うわけです。得たものが借りたものに相当するのなら問題はなく、投資として捉えられるはず。家や車買うときにローン組むし、スマホも分割で買うけどそれに対して怒ることはないでしょ。

 

 僕は今2回目の大学生をやっていて、前の大学でも今の大学でも奨学金を借りてるけど、後悔みたいなものは何もないです。奨学金が借りられなかったら通えない(通えなかった)可能性すらあるので有難くすら思ってます。

 

 専門性の強い学部だから恩恵がでかいのかもしれないけど、大学って本来学ぶところなんだからさ、金と時間をかける以上、何かしらの学びがないといけないわけです。それなのに、大学が乱立して教える側の質が低下して、少子化と機能してるか分からない入試のせいで教わる側の質も低下してるわけで、結果として大学で何も得られないと感じるのではないでしょうか。

 

 「金と時間を費やすだけの価値がその大学にあるのか」を考えるのが一番なのだろうけど、高校生にその判断をさせるのは難しすぎるので、そこは教育や社会が変わる必要があるのではないかと思ってます。

 

給付奨学金だけにするなら、もらえる人が減る

 給付奨学金を充実させようとすると膨大な金額になりますから、国以外が出すことは不可能でしょう。そのお金が税金から来てようと、国債から来てようと国のお金なわけですから、無駄に使用することは避けたいもので、そういう質の良くない教育に使われるでしょうか。無理でしょうね。すぐに「ワレワレノゼイキンガ-」とか「クニノシャッキンガ-」とかの声が出てくることになります。僕自身もアホな学生に給付するくらいなら、優秀な学生に2倍払いたいと思うしね。

 

 それじゃ、どこの大学なら給付奨学金が使われやすいのだろう。それはやっぱり国公立大学じゃないかなと思います。教育する側もされる側も質がある程度担保されるでしょうし、枠に限りがあるから競争も促せますし。あと、奨学金を給付にすると、学生を通ってそのまま大学にお金が落ちることになるので、私立大学の学生に対して国からたくさん給付を行うってのはどうなんだろう。

 

 こんなことを言うと「学力が足りなくて国立に通えず、経済的に私立は厳しいという人に学ぶ権利はないのか」みたいなことを言われそうだけど、勉強して成績上げろよとしか言えない。

 

 給付型奨学金を充実させるのであれば貰える人は少なくなるけど、貸与型を維持するのであれば多くの人がもらえることになると思います。少なくとも「全員が給付型をもらえる」状態にはならないでしょう。「全員給付にしろ」っていう人は、貰えなくなる人が増える可能性をどう見てるんでしょうか。どっちが良いかは今の僕には分からないです。

 

 

根底は「所得」の問題

 そもそも、たとえ質の高くない教育でも、卒業後に返還しても余裕のある生活ができる程度の給料をもらえればそこまで問題になってないわけです。もっというと、大多数の親が子供数人を国公立大学に普通に通わすことができる経済状況であれば、ここまで大規模な奨学金制度はいらないのですよ。

 

 だから、奨学金のことを奨学金だけ見て言っても、問題はあんまり解決しないと思います。名称を学生ローンにしたって、経済的な事情で悩む学生は減らないでしょ。質の低い教育が継続されていいわけでもないでしょ。そういう浅い話はもうやめて、もっと深く見ましょうよ。

 

 

 少し長くなりましたのでこの辺で。

 

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